権力に媚びず、タブーを斬りまくるBANKSYの作品を集めました。
「都市や屋外や公共の場所こそ、アートが存在するべき場所なんだ。アートは市民とともにあるべきだ」
2020年8月には東京でBANKSY展(仮称)が開催されます。大阪でも開催される予定です。
目次
BANKSYって誰?
バンクシーはイギリス・ブリストル出身の覆面ストリート・アーティストです。
プライベートは謎に包まれ、生年月日や本名は明かしていません。
世界各地のストリートで風刺画を非合法に描いて注目されています。
自らの作品をMoMA、メトロポリタン美術館、大英博物館などに無断で展示したり(そんなんできるん?)、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区の分離壁に、イスラエル軍から威嚇砲弾されながら描いたり(命知らず…)、ゲリラ的に描く作品は常に物議を醸しています。
キアヌ・リーブス、ジュード・ロウ、クリスティーナ・アギレラなどのセレブにもファンが多く、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーは展覧会で、4千万円以上を出してオリジナルアートを購入したことがあります。
ジャスティン・ビーバーは腕に『風船と少女』のタトゥーを入れて話題になりました。
1億5千万円で落札された直後に裁断された作品
オークションで1億5千万円で落札された直後に、バンクシー本人によってシュレッダーで裁断された「風船と少女」は、2017年にイギリス人が好きな芸術作品ランキング1位に選ばれた作品でした。
「破壊の衝動は、創造的でもある」というピカソの言葉と共に、オークション会場で撮影された動画をInstagramに投稿したバンクシー。
「オークションで競売にかけられることに備えて、作品の中に数年前、シュレッダーを潜ませていた」と明かしました。
落札したヨーロッパ人の女性コレクターは、「ハンマーの音と同時に作品が切り刻まれる様子を見て、最初は非常にショックを受けました。けれどしだいに、自分は美術史の一部を所有できるということに気づいたんです」と、当初の落札額のまま作品を受け取りました。
切り刻まれた作品は『Girl with Balloon』から『Love is in the Bin(愛はごみ箱の中に)』に名称を変更されました。
作品が半分残っていたことで、BANKSYに対して商業主義に取り込まれたかのような批判が高まりましたが、騒動の舞台裏を記録した動画の終盤2分36秒から『In rehearsals it worked every time…(リハーサルでは毎回成功していたのに…)』という字幕が流れます。
『風船と少女』はシリーズになっていて、別のパターンも描かれています。
イスラエルが国際法に違反してまで建設を強行したパレスチナの分離壁に描かれたパレスチナ・バージョンでは、少女が風船につかまって壁を超えていくシルエットが描かれています。
BANKSYの作品
「バンクシー・イン・ニューヨーク」宝探し大会
2013年10月、BANKSYがニューヨークで神出鬼没の展示を始めました。
一切の予告なく、毎日1点の作品をニューヨークのどこかに残してサイトに投稿すると、人々が街中でその作品を探し回ります。
SNSで情報が駆け巡り、作品に上書きしようとするアーティストたちと、それを防ごうとするビルのオーナーたちとの攻防や、作品の売買を狙うギャラリー・オーナー、いち早く探し出したい人々などがバンクシー・ハントで熱狂しました。
ザ・ウォールド・オフ・ホテル
BANKSYはイスラエル・パレスチナ問題に強い関心を持ち、同地で活動を続けています。
2017年には、「世界一最悪の眺め」をテーマに、パレスチナ自治区の、ヨルダン川西岸の都市ベツレヘムで分離壁を見下ろす立地にアートホテル「ザ・ウォールド・オフ・ホテル」をオープンしました。
このホテルに泊まるためだけに現地を訪れる人も多く、2階には無料で観覧できるギャラリーもあります。
BANKSY展(仮称)2020年8月 開催
バンクシー本人がプライベートコレクターに譲ったステンシルアート作品で、バンクシーのこれまでの軌跡を辿る展示会が開催されます。
会期:2020年8月29日〜12月6日
会場:寺田倉庫 G1ビル
住所:東京都品川区東品川2-6-4
*大阪へも巡回予定。